茶道では、正座をしたまま(立ち上がらず)移動することがあり、「にじる」「膝行(しっこう)・膝退(しったい)」と言います。
このお稽古では、4畳半以下のお茶室で、にじりながらお茶を取りに行く方法、返す方法を正客と、替茶碗を使った次客についてそれぞれご説明していきますね。
にじる(膝行・膝退)とは?
「にじる」とは、正座をしたまま両わきに手をつき、膝から下を畳につけた状態で移動することです。
前に進むことを「膝行(読み方:しっこう)」、後ろに下がることを「膝退(読み方:しったい)」と言い、にじり口からお茶室に入るとき、また、4畳半以下のお茶室でお茶やお道具を取りに出るときに使います。
手の付き方にも決まりがあって、横に真っすぐ下ろしたのが正しい状態です。
手の甲が見えるのは間違いですので、気を付けてくださいね。
また膝から下全体を畳にしっかり押し当てた状態ですと、軽やかに動けません。
なので、手で畳を押して膝を少し浮かせ、足の甲を滑らせるようにして動きましょう。
お点前によっては、片膝ずつの膝行膝退もありますが、お客は両ひざを揃えて膝行膝退します。
- 手をまっすぐおろす
- 両ひざを同時に動かす
- 膝を少し持ち上げ、足の甲で移動するイメージ
膝行膝退(にじる)でのお茶の取り方
正客のお茶の取り方
まずは正客。取り方自体は濃茶も薄茶も同じです。
1.お茶が出されたら、両手を前につき、畳の縁までにじります(膝行)。
2.畳の半分くらいまで出るように、にじります(膝行)。
3.右手で茶碗を膝ギリギリに取り込みます。
4.畳の縁までにじって下がります(膝退)、茶碗を膝前まで下げます。
5.縁から16目(24センチ)に座り、居住まいを正します。
6.次客との間に置いて「お先に」の挨拶(行)をし、正面(縁内)に置いて「お点前ちょうだいいたします」の挨拶(真)をします。
7.飲み終わったら、拝見し、次客に送ります。
8.次客も拝見し、左横(縁内)に置いておきます。
次客のお茶の取り方(替茶碗の場合)
1.替え茶碗でお茶が出されたら、主茶碗を前に出し、縁までにじって出ます(膝行)。
2.同じくらい茶碗を進め、茶碗ギリギリまで出ます(膝行)。
3.出された替え茶碗の近くまで、出ます(膝行)。
4.主茶碗(空)を左側によけ、替え茶碗(お茶入り)を正面を自分に向けるようにして、膝前に取り込みます。
5.主茶碗を時計回りに2回回して正面を亭主に向け、お茶が出された位置に返します。
6.にじって下がり(膝退)、茶碗を膝ギリギリに下げます。
7.畳の縁まで下がったら(膝退)、縁外正面に茶碗を置きます。
8.縁から16目まで下がり、居住まいを正します。
9.正客との間に置いて「もう1服いかがですか?」と勧め(行)、縁内正面に置いて「頂戴いたします」の挨拶(真)をして、いただきます。
濃茶椀の場合は、出会いで返します。
にじる(膝行膝退)お茶の取り方まとめ
にじる(膝行膝退)動作をきれいに見せるポイントは、
- 手の付き方
- 膝を少し浮かせる
- 遠くに手をつきすぎない
- 同じ距離ずつ移動する
あまり遠くに手をつくと、着物も乱れて綺麗に見えません。
自席からお茶までの距離を考え、2回または3回くらいで移動できるよう、心がけましょう。
\お茶屋さんの抹茶スイーツ/
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