茶事は食事を伴った正式なお茶会のこと。
今回はお客の作法を中心にご説明しますので、茶事に招かれたら参考にしてくださいね。
茶事とは
茶事と茶会の違い
茶事(読み方:ちゃじ)とは、食事(懐石)・炭点前・濃茶点前・薄茶点前が揃った、少人数で行われるフルコースのお茶会です。
席入りから退席まで、一連の流れがすべて決まっていて、約4時間ほどかかります。
茶事と似たもので茶会がありますが、お茶会は、濃茶があったり、薄茶があったり、簡単な食事があったりと、これといった決まりはなく、大勢で楽しむものです。
- 茶事は正式なフルコース
- 茶会は茶事を簡略化したもの
茶事の種類
茶事には行われる時期や時間帯によって、7種類の茶事があり、「茶事七式」と言われます。
- 暁(あかつき)の茶事
- 朝の茶事
- 正午の茶事
- 夜咄(よばなし)の茶事
- 不時の茶事
- 飯後(はんご)の茶事(菓子の茶事)
- 跡見(あとみ)の茶事
お客の心得(茶事)
茶事の服装
着物は紋付の色無地が安心。
茶事によっては華美にならないようにした方が良いものもあるので、分からなければ先生や先輩方(正客)に尋ねてくださいね。
茶事に必要な持ち物
当日の持ち物はこちら。
- 扇子
- 懐紙
- 菓子切
- 古帛紗
- 帛紗
- 小茶巾
- 小茶巾入れ
- 残肴入れ
- 替足袋(足袋カバー)
- ハンカチ
- 風呂敷
茶事の流れ
茶事の大まかな流れはこちら。
- 待合
- 初座(初炭・懐石・お菓子)
- 中立
- 後座(濃茶・後炭・薄茶)
*風炉の茶事は、懐石と初炭が入れ替わります。
それでは詳しく見ていきますね。
待合(まちあい)
待合とは、茶室に入る前の準備。茶事を行う部屋とは別の場所が用意されています。
1.身支度を整えたら(足袋を履き替えたり、帛紗を懐中など)、待合へ進みます。
2.正客はたばこ盆の正面に座り、続いて次客から順に座り、全員そろったら、お詰(末客)は水屋へ知らせます。
3.半東より湯が出されると、お詰がお盆を預かり、全員に配ります。
4.全員でお湯を頂きます。
5.正客から順に退席し、草履をはいて、腰掛待合へと進みます。
腰掛待合(こしかけまちあい)
腰掛待合とは、茶室へと向かう路地にある待合のこと。
畳ではなく、草履を履いて、腰かけて待つ待合です。
1.重ねた円座の上にたばこ盆がおいてあるので、正客はまずたばこ盆を上座(正客と次客の間になるように)へ移動させ、円座を全員分並べます。
2.全員で座って待ちます。
迎付(むかえつけ)
1.亭主の姿が見えたら、全員で立ち上がります。
2.亭主が柴折度(しおりど)を開けて迎え付けに出ると、全員で2~3歩進み出て、主客総礼をします。
3.亭主の後ろ姿が見えなくなると、お客は再び腰掛待合に戻ります。
初入り(しょいり)
1.正客は次客に「お先に」と声をかけてから立ち上がり、円座を壁に立てかけて、柴折戸から内路地へ入ります。
2.つくばいを使って、手と口を清め、手を拭いて茶室に進みます。
3.にじって席入りし、草履は裏合わせにして立てかけます。
4.床(軸のみ)、炉中(釜)、風炉先を拝見して借り座に座り、お詰の拝見が終わると、全員で立って定座に座ります。
5.亭主が茶道口を開けて、主客総礼。正客は「どうぞお入りを」と声をかけます。
6.扇子を前に出し、ひと膝進んで、招待のお礼を述べ、次客以降も順番に挨拶します。
7.亭主が下がります。
初炭点前(しょずみてまえ)
初炭点前(炉)を行います。
最後に香合の拝見が終わると、主客総礼し、亭主は「時分でございますので、勝手を見繕いまして粗飯をさし上げます」と挨拶して、襖を閉めます。
懐石(かいせき)
折敷・酒・飯器・煮物・酒・焼き物・預け鉢・飯器・小吸い物・八寸・千鳥の盃・湯斗・香の物の順に懐石をいただきます。
炉開き(口切の茶事)では、懐石と主菓子を合わせて、ぜんざいが出されるのが一般的です。
菓子
1.お菓子(主菓子)が運び出されます。
2.亭主は茶道口に下がり
亭主「どうぞお菓子をお取りまわしの上、席をあらためたく存じますので、先ほどの腰掛待合までお中立を」
正客「どうぞ迎え付けはお鳴物で」
亭主「それでは都合によりまして、そのようにさせていただきます」
と挨拶し、主客総礼して襖を閉めます。
3.お菓子を取り、お詰が茶道口に縁高を返します。
4.全員でいただきます。
5.正客から「お先に」と言って、床(軸)、炉中を拝見して退席します。
中立(なかだち)
中立とはいったん休憩のこと。トイレなどはここで済ませましょう。
1.最初と同様に円座を並べて座ります。
2.銅鑼の音が聞こえ始めたら、全員で立って少し進み、つくばって(しゃがんで)銅鑼を聞きます。
3.一度腰掛に戻り、座って待ちます。
後入り(ごいり)
1.正客から「お先に」と言って、最初と同じように円座を上げ、つくばいを使って手を清めて席入りします。
2.床(花)、水指や茶入、炉中(釜)を拝見し、席に着きます。
濃茶点前(こいちゃてまえ)
座が静まると、濃茶点前が始まります。
後炭点前(ごずみてまえ)
後炭点前を行います。
薄茶点前(うすちゃてまえ)
たばこ盆、干菓子器を出し、薄茶点前を行います。
退席(たいせき)
1.亭主が再び襖を開けると、正客は扇子を前に出して、ひと膝進み、茶事のお礼など挨拶をします。
2.お詰まで挨拶が終われば、亭主は茶道口に下がり、
正客「どうぞお見送りご無用に」
亭主「都合によりまして」
と挨拶をし、主客総礼して襖を閉めます。
3.お客一同で扇子を前に置いて「お相伴ありがとうございました」の挨拶をします。
4.正客から「お先に」と言って、床・炉中を拝見し、退席します。
5.躙口近くに正客から並び、亭主と一礼して、帰ります。
茶事の流れまとめ
茶事の流れを見てみると、懐石料理やお菓子を頂く「初座」がメインだと思いがちですが、あくまでも茶事の主役は「濃茶」です。
なので、きちんと濃茶を飲めるようにする(亭主はお点前を綺麗にする)ことが大切。
流れも作法もあって、ドキドキ・・・かもしれませんが、茶事に招かれたら、亭主の心遣いをしっかり感じつつ、お茶を楽しみましょう。
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