茶杓荘（ちゃしゃくかざり）とは、由緒ある茶杓を使ったお点前です。
風炉同様、濃茶点前も薄茶点前もできますが、今回は炉の濃茶点前をやっていきますね。
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【炉】茶杓荘の濃茶点前で必要なお道具
【炉】茶杓荘の濃茶点前の水屋仕事
まずはお点前に入る前の水屋仕事（下準備）です。
1．水指に水を8分目ほど入れて、畳中央に置く
3．仕込み茶碗を持ち出して水指前に座り、茶碗を正面に置く。
4．茶杓を水指の蓋、右側に置く。茶筅を茶碗の右横に仮置きする。
5．茶巾を水指の蓋の上に置き、その上に茶筅を乗せる。
6．人数分の濃茶を入れた茶入を主茶碗の中に入れ、水指の前に荘る
7．建水に竹の蓋置（炉用）と柄杓（炉用）を仕組む
8．お菓子を出し、茶道口で主客総礼。襖を閉める
【炉】茶杓荘の濃茶点前の手順
1．建水と柄杓を正面に置いて茶道口に座り、ふすまを開けます。建水を左手で持って右足から入り、180度向きを変えて座り、ふすまを閉めます。
2．左膝から立って定座に外隅狙いで座り、左手をまっすぐおろして建水を置きます。
3．左手で柄杓の節の下を持ち、右手で切り止めに添えて持ち直し、構えます（鏡柄杓）
4．柄杓を構えたまま、右手で蓋置を取り、柄杓の内側を通って、いったん正面を確かめてから炉の右下に3目ずつ開けて置きます。
5．柄杓を右手で上から持ち直し、合を蓋置に軽く音をさせて引き置き、柄を10センチくらいの高さからポトンと落とし、主客総礼をします。
6．左手で建水を風炉先に半がかり（壁から5～7目）まで上げ、座る位置や着物が乱れていたら直し、「1.2.3...」と数えるようにして呼吸を整えます。
7．茶碗を両手で取り、膝正面の少し奥に置きます。
8．茶入を片手で取り、膝と茶碗の間に置きます。
9．仕覆の緒を解き、仕覆を開いて脱がせ、茶入を茶碗と膝の間に置きます。
10．仕覆を左手で打ち返し（釜の方へ）、左手で仕覆の底を持って水指の左横、水指と壁の中間に置きます。
11．四方捌きをし、茶入を清めたら定座に置きます。
12．帛紗をさばきなおして、茶杓を清め、茶入の蓋（つまみの右側・火に近い方）に開先を上にして置きます。
13．右手で茶筅を取り、茶入の右横に置きます。
14．帛紗を左手の人差し指と中指で挟み、右手で柄杓を取って構え（鏡柄杓）、挟んだ帛紗を右手で取って、釜の蓋を開けます。
16．帛紗を右膝頭に仮置きします。
17．右手に柄杓を持ち替え、湯を茶碗に入れます。
18．再び帛紗で釜の蓋をぴたっと閉め、帛紗を右膝頭に仮置きします。
19．柄杓を蓋置に静かに引き置きます。
位置はこんな感じ。
20．右手で茶筅を取り、茶碗に入れて1度打ちます。（左手は膝）
21．両手で手前に寄せます。
20．右手で茶碗を取り、左手に持ち替えて湯を捨て、右手で茶巾を取って茶碗を清めます。
21．右手で茶杓を取り、左手で茶入を左横から取って、茶杓を握りこんで茶入の蓋を開け、茶碗の右横に置きます。
22．茶杓で茶を3杯くみ出して、茶杓を茶碗の右にかけ、茶入を手前に回して、お茶を全て出します。
23．右手の親指で茶入の口の下側、人差し指で上側を清め、汚れた指を懐中している懐紙で拭き、右手で蓋をして左手で元の位置に戻します。
24．茶杓を右手で取り、左手で扱ってから茶を「三」とならし、茶碗の縁で軽く開先付近を打って、茶入の上に戻します。
25．右手で柄杓を取り、左手で節を持って構え（鏡柄杓）、右手で帛紗を取って釜のふたを取り、蓋置の上に置き、帛紗を自分の左横に置きます。
26．柄杓を右手に持ち替えて、茶碗に湯を入れ、濃茶を練って定座に出します。
27．正客が茶を一口飲んだところで、草に手をつき、
亭主（草）「お服加減はいかがでございますか」
正客（右手のみ草）「結構でございます」
と、問答します。
28．柄杓をとってかまえ、手で釜のふたを閉め、柄杓を建水に合を落として手なり斜めに乗せ、蓋置を右手で取って、左手で建水の後ろに置き、客付に向いて控えて待ちます。
29．次客が一口飲むと、
正客（どちらも真）「大変おいしくいただきました」
正客（行）「お茶名は？」
亭主（行）「〇〇でございます」
正客（行）「お詰めは？」
亭主（行）「〇〇でございます」
正客（どちらも真）「ありがとうございました」
と問答します。
30．末客の吸いきりで、点前座に戻ります。
31．蓋置を左手で取って、右手で元の位置に置き、柄杓を左手で持って構え、右手で帛紗を取って釜の蓋をあけ、蓋置の上に乗せます。
32．帛紗を左横に戻し、柄杓を横にして湯を汲むように持ち直し、釜の口に預けます。
33．茶巾を取って、釜の蓋に置き、水指の蓋を右手→左手の二手で取り、左に立てかけます。
34．柄杓を取って、水を釜に1杓差し、柄杓を釜に預けて帛紗を腰につけます。
35．茶碗が戻ると、右手で取り、左手で扱ってから膝前正面に置き、主客総礼をします。
36．柄杓を取って、湯を茶碗に入れ、釜にかけて置きます。
37．右手で茶碗を取り、左手で建水に湯を捨てます。
38．右手で茶碗を膝正面に置き、
亭主（草）「一応おしまいにいたします」
正客（真）「どうぞ」
と挨拶をします。
39．右手で柄杓を上から取って、水を茶碗に入れ、釜に置きます
40．おしまいの茶筅通し（1度上げ2度打ち）をし、茶筅を元の位置に戻します。
41．右手で茶碗を取り、左に持ち替えて茶碗の水を捨て、右手で茶巾を茶碗に入れて、正面に置きます。
42．茶筅を茶碗に入れ、右手で茶杓を取って、建水を引きます。
43．帛紗を左手で腰から取り、右手の茶杓を握りこんだまま草にさばいて、茶杓を清め、茶碗に開先を下にふせて置きます。
44．帛紗を建水の上で2度はたき、腰につけます。
45．茶入を水指右前に戻し、茶碗を右手→左手の二手で左側に置き合わせます。
46．柄杓を上から取って釜に水を1杓さし、柄杓を左手に持ち替えて、右手で釜の蓋を閉めます。
47．柄杓を蓋置の上に静かに置き、水指の蓋を、左手→右手の二手で閉めます。
48．正客から道具の拝見所望があれば、これを受けます。
49．柄杓を右手で持ち上げるようにして取り、左手で節を持って、くるりと回し、合をふせて左手で建水に真っすぐかけます。
50．蓋置を右手で取り、左手に乗せて水指正面に向き、柄杓の真下に置きます。
51．茶碗を一手で勝手付に割付けます。
52．茶入を持って客付きに回り、清めて定座に出し、再び勝手付に向きます。
53．右手で古帛紗を取り出して、左手に乗せ、その上に茶杓を乗せます。
54．点前座に向き、古帛紗に乗せたまま、右手で茶入の右横に出します。
55．仕覆も出します。
56．水指正面に向き、建水を持ち帰ります。
正客は道具を取りに出ます。
57．水指正面に座り、茶碗を持ち帰ります。
58．再び入って水指正面に座り、水指を両手で持ち、時計回りで下がり、水指を正面に置いてふすまを閉めます。
59．ふすまがしまったら、正客より順に拝見をし、末客との出会いで返します。
60．茶杓の由緒をたずねます。
正客「お茶入は？」
亭主「〇〇でございます」
正客「お茶杓のご由緒は？」
亭主「（例）祖父が檀家総代をしておりました際、お寺様よりいただいたものでございます」
正客「お仕覆のお裂地は？」
亭主「〇〇でございます」
61．お道具についての問答が終わると、仕覆を右手で取って左手に乗せ、茶杓を右手で取って仕覆の上に斜めに乗せて左親指で押さえ、古帛紗を二つ折りにして懐中します。
62．右手で茶入を横から持ちます。
63．左膝から立って帰り、茶道口で座って、 茶入から自分に近い方に置き、主客総礼をしてふすまを閉めます。
【風炉】茶杓荘の濃茶点前のまとめ
由緒ある大切な茶杓を使ったお点前です。
平点前との違いは、水屋仕事として荘りつけをすること、そして茶杓を古帛紗に乗せて拝見に出すということ。
その他は平点前と同じですので、流れを止めないよう、まずは平点前をしっかりと。そして違う点をしっかりお稽古していきましょう。
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